取扱業務
行政関係について
- 地方公共団体をめぐる紛争と解決手続
地方公共団体をめぐる紛争と解決手続
都道府県や市町村などの普通地方公共団体、特別区・地方公共団体の組合・財産区・地方開発事業団などの特別地方公共団体は、いずれも公法人として、それぞれ、本来の行政主体としての目的に対応した行政的活動を行っているが、私法上の取引の当事者として経済的活動を行い、私人と対等の立場に立って契約や手形行為などの活動も行っています。
このような地方公共団体の諸活動に伴い、例えば行政的活動では、誤った課税処分を行うとか、公金の違法な支出を行うなどによる行政上の紛争が生じたり、また私法的活動では、公有の土地や建物の賃貸借契約上のトラブルとか公立学校内での事故に伴う紛争とか公立病院での医療ミスに伴う紛争などの民事上の紛争が、日常しばしば発生しています。
このような紛争を解決するための手続として、私的活動に伴う紛争に対しては、民事訴訟があり、行政的活動に伴う紛争に対しては、行政争訟があります。
- 民事訴訟
地方公共団体が、私人と対等の立場で社会的活動を行うことに伴って発生する紛争を解決する手続には、民事訴訟とその他の関連手続があります。
民事訴訟とは、民事に関する訴訟であり、「私法の規律する対等者間の経済上の生活関係に関する事件について、裁判所が私人間の紛争又は衝突に対して、法を適用することによって解決するため、これについて対立する利害関係人を関与させて行う法律的手続」をいいます。
- 民事訴訟の内容
事件の性質別に分けると損害賠償請求訴訟、不動産訴訟、その他に分けることができます。
損害賠償請求訴訟は、地方公共団体の民事訴訟のうちでも比較的事件数の多い訴訟です。
損害賠償請求訴訟の内容には、公立学校の教師の教育活動に件って発生する学校事故に関する訴訟(例えば、いじめ訴訟)とか、公立病院の医師の医療過誤に伴う訴訟とか、河川・道路など営造物の設置・管理の瑕疵に関する訴訟など、実にいろいろな内容のものがあります。
次に、不動産訴訟の内容には、公有地の不法占拠者に対する土地明渡訴訟とか、公有地と民有地の境界確定訴訟とか、公営住宅の家賃滞納に伴う建物明渡訴訟などがあります。これらの訴訟では、民法をはじめ公営住宅法等の実体法が関係しています。
- 行政争訟
地方公共団体の行政的活動に伴って発生する紛争を解決する手続としては、行政争訟があります。
行政争訟とは、広く行政上の法律関係に関する争訟をいい、裁断する機関によって、裁判所がこれに当たる場合の行政訴訟と、行政機関がこれに当たる場合の行政審判とに分けることができます。行政審判の主なものには、行政不服審査法に基づく不服申立制度(審査請求、異議申立など)があります。
- 行政訴訟の内容
行政訴訟は行政上の法律関係に関する争訟であり、行政事件訴訟法では、抗告訴訟(3条)、当事者訴訟(4条)、民衆訴訟(5条)、機関訴訟(6条)に分類しています。
抗告訴訟は、行政訴訟のうちでも最も中心となる訴訟であり、地方公共団体をめぐる抗告訴訟には、地方税の課税処分の違法を理由にその取消しを求めるなどの税務訴訟とか、職員の懲戒処分の取消しを求める訴訟など、広く行政活動全般にわたる事案について発生する訴訟です。
当事者訴訟の内容としては、土地収用に伴う損失補償額の増額を求める訴訟などがあります。
民衆訴訟は、住民訴訟、選挙の効力を争う選挙訴訟(公職選挙法203条、204条)などが代表的なものです。
機関訴訟は、地方自治法の代執行関係訴訟(法245条の8第3項)などがあります。
- 住民訴訟が増えた一番大きな理由は?
(1)情報公開制度ができた結果、住民が、かなりの資料を手に入れることができるようになったこと
(2)住民の権利意識の拡大
(3)平成16年に改正になった行政事件訴訟法に基づく取消訴訟というのが、改正までは非常に訴訟要件が厳しくて扱いづらいものであり、その補完機能を果たした。
- 住民訴訟の実質的意義
住民が、住民監査請求を起こし、そこで監査委員の判断如何により、直ちに訴訟に移行可能なので、勝ち負けは二の次で訴えが提起され(訴えを提起された側にとっては大変なストレスとなり、特に平成14年の地方自治法改正以前は、自治体首長個人が被告とされていたので精神的にも経済的にも負担が大きかった。)、判断経過を訴訟の中で明らかにさせることが可能になります。
その結果、住民側からすれば財務会計上の行為という切り口から、行政の適法性を確保していくことが可能になり、逆に行政側からいえば、何か判断するときに、最終的に住民監査・住民訴訟で、損害賠償の対象になるかならないかを常に意識せざるを得ず、財務会計上の行為が適法であるように努力がされております。
- 債権管理等について
債権は、公債権と私債権に分類されますが、強制徴収が可能な税金等の公債権については、地方税法、国税徴収法などの徴収手続きが定められており地方公共団体が回収について特に不安を感じることは比較的少ないといえます。
それに対して私債権については、最終的には裁判所を通じて回収する以外に方法はなく、裁判所というところは自治体職員にとっては馴染みが薄いため、どうしても私債権の回収手続きに着手しづらいというのが現実です。
しかし、公営住宅の賃料、公立病院の診療費、学校給食費など私債権の未収額の増加は自治体財政に深刻な影響を及ぼしており、少なくとも「支払能力はあるのに支払わない住民」に対しては、公平の見地からも積極的に回収手続きを行っていくべきであると考えますし、公営住宅については、公営住宅入居を希望しながらも空きがないために待っている住民のためにも、支払能力があるのにもかかわらず、あえて支払いを滞らせている不誠実な入居者に対しては明渡しを求めなければなりませんが、弁護士からみると、上記いずれについても各自治体の対応は不十分であって改善努力が必要と考えます。
当事務所は、札幌周辺のみならず北海道全域の市町村からの公営住宅明渡しや債権回収のご相談、ご依頼に対応させていただいております
- 主な担当事件
当事務所では、住民訴訟、行政訴訟、不服申立事案などの行政争訟と損害賠償請求事件、公営住宅明渡請求事件などの民事訴訟事件について、これまで多くの自治体の代理人となっております。文献等に登載されている主な事件は以下のとおりです。
- 幌延町貯蔵工学センター立地推進活動事業補助金住民訴訟事件
札幌高裁平成9年5月7日判決
掲載文献:判例地方自治168号9頁
- 町そば焼酎公社出資金住民訴訟事件
釧路地裁平成10年2月17日判決
掲載文献:判例地方自治180号98頁
- 公衆浴場対策補助金等支出損害賠償請求住民訴訟事件
旭川地裁平成13年11月13日判決
掲載文献:判例地方自治229号26頁
- 社会福祉協議会補助金住民訴訟事件
札幌高裁平成16年7月15日判決
掲載文献:判例地方自治265号31頁
- 競争入札参加指名停止処分取消請求事件
札幌地裁平成17年2月28日判決
掲載文献:判例地方自治268号26頁
- 議員辞職勧告決議名誉毀損損害賠償等請求事件
札幌地裁岩見沢支部平成17年4月7日判決
掲載文献:判例地方自治270号10頁、判例時報1918号39頁
- 職員イベント派遣損害賠償請求事件
札幌地裁平成17年7月22日判決
掲載文献:判例地方自治278号47頁
- 時間外勤務手当等請求事件
札幌高裁平成19年9月27日判決
掲載文献:労働法律旬報1662号55頁
- 議員辞職勧告決議による名誉毀損損害賠償請求事件
札幌地裁平成19年12月12日判決
掲載文献:判例地方自治306号15頁、判例時報2006号93頁
- 戸籍等の誤記載に係る損害賠償請求事件
東京地裁平成19年12月20日判決
掲載文献:判例地方自治306号10頁
- 除雪作業中の事故に係る損害賠償請求事件
旭川地裁平成19年12月26日判決
掲載文献:
判例地方自治306号91頁、判例時報2003号98頁、
判例タイムズ1282号219頁
- 札幌市公立学校教員ストライキ懲戒処分取消請求事件
札幌地裁平成20年7月7日判決
掲載文献:判例地方自治311号61頁
- 診療報酬不正受給損害賠償請求事件
函館地裁平成21年1月9日判決
掲載文献:判例地方自治319号35頁、判例タイムズ1306号273頁
- 国家賠償請求事件
釧路地裁帯広支部平成23年3月24日判決
掲載文献:判例時報2112号103頁
鳥獣保護法所定の従事者証の返納を命じた町長の行為、その行為に対する町の報道機関への告知行為、従事者証の返納に関する質問に回答しない行為を違法として求めた国家賠償請求が棄却された事例